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2006年9月11日 (月)

純度99.5%のエタノールを飲用してはいけない訳

化学実験室ではエタノールをよく使用する。

たまに、実験室のエタノールを水で薄めて、飲もうとする輩がいる。結論から言うが、純度95%と純度99.5%のエタノール、水で薄めて飲むといけないのは99.5%の方である。

実験室でよく使用される、純度95%や純度99.5%のエタノールは、お酒の製造に転用される可能性があるということで、酒税相当分が価格に上乗せされて流通している。1リットル当たり800円強が上乗せされているという。厳密には「酒税」ではなく、「酒税相当分」というらしい。

一方、お酒の製造に転用できないように、わざわざ不純物を添加したエタノールもあり、工業用アルコール、変性アルコールと呼ばれている。こちらは、酒税に相当する分が上乗せされていないので安い。工業用アルコールは、メタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノールなどが、意図的に加えてあって、飲むと危険である。(プロパノールなどが入ると、おそらく味的にも飲めたもんではない)

工業用アルコールを飲むと危険なのは知っている人が多い。しかし、酒税相当分が上乗せされている純度95%のエタノールと純度99.5%のエタノール、これらを比較した場合、飲むと危険なのは、純度99.5%の方である。純度の低い95%の方ではないのだ。もちろん、実験室にあるエタノールは、お酒に使われる醸造用アルコールとは違うので、飲用しない方がいいのは言うまでもない と記したけれども、お酒に使われる醸造用アルコールと実験室で使う試薬の95%エタノールとは実は同じものらしい。醸造用アルコールが財務省、試薬のアルコールが経済産業省と、監督官庁が異なるだけと聞いた)

なぜか?

エタノールは蒸留を何回も繰り返して、精製される。エタノールと水の混合物を蒸留する場合、エタノールの濃度が95%に達すると、それ以上、濃縮されず、95%でとまってしまうのである(モル比で表すと、エタノールのモル比が0.9でとまる)。化学的に言うと、液相のモル比が0.9のとき、それが蒸発してできた気相のモル比も0.9となる(これを共沸点という)。そのため気相を冷却して凝縮させても、モル比は同じく0.9のまま。だから濃縮されないのだ。

95%よりも、もっと濃くしたい場合どうするか?エタノールと水の系にベンゼンを加えて、蒸留するのである。だから。99.5%のエタノールには微量だがベンゼンが残留している可能性がある。ベンゼンは発がん性のある物質だから、飲んではいけないし、吸うだけでもよくない。

ベンゼンがどれくらい残留していて、水で薄めて飲んだときにどれくらいの健康被害を与えるか、私は評価したわけではないし、知らない。しかし、ベンゼンが微量にでも残留してると飲用できないのは事実なので、99.5%のエタノールに酒税相当分を上乗せする必要はないのではというのが私の意見である。

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コメント

だだいま被災地で極限状態です。

手元に99.5%と80%の消毒用エタノールがあって、
80%を飲むことに(w しました。

トップバリュの40%焼酎と味は変わりませんねぇ...

投稿: ほんだら | 2011年3月15日 (火) 17時34分

たまたまエタノールの共沸について検索していてたどり着きました。
エタノールは95%以上蒸留では純度を高められないとのことですが、ウオッカ「スピリタス」は96%ありますよね。

怪しい方法を使っている、ということなのでしょうか・・・。

投稿: ねこじゃらし | 2011年3月19日 (土) 12時57分

ウォッカの96%ですが、たぶんこれは質量パーセント(wt%)ではなく、体積%(vol%)ではないでしょうか。後者の方が数字が大きくなるので、濃く見せたい酒造メーカはvol%で表記したりしてます。

投稿: つゆもと | 2011年4月14日 (木) 19時28分

ベンゼン入りが酒税無しで安く売ってたら、それを焼酎に混ぜちゃう業者が出てきちゃうじゃないですか・・・('A`)

投稿: とおりすがり | 2011年4月22日 (金) 03時01分

正確にはベンゼンではありません。シクロヘキサンです。

アルコールだけでは、99.5VOL以上にはならないので、
シクロヘキサンを用いて、水分を飛ばします。

シクロヘキサンを混ぜることにより、アルコールの沸点よりも
沸点を下げて、水分を飛ばしていきます。

最終的にシクロヘキサンは、1ppmも残りませんのでご安心を。

ちなみに毒物劇物取締法に指定されている、メタノールですが、
ワイン・日本酒・紹興酒などなど、いろいろなお酒に
数10ppm~数100ppm含まれております。

でも、ご安心を。

人間の体は、メタノールよりもエタノールを選択的に
摂取致しますので、少量なら大丈夫ですし、
その不純物が酒のおいしさにつながってます。

投稿: めーかー | 2012年8月 9日 (木) 13時46分

古い記事ですが、揮発せず残留した少量のベンゼンよりエタノールの方が発がん性が高い・・・というのは余計な突っ込みですかね。

投稿: vfx | 2014年5月 7日 (水) 06時46分

なるほど、95%や99.5%をさらに蒸留すれば純粋なアルコールだけとれるのか。

投稿: 名無しさん | 2019年9月12日 (木) 20時00分

>名無しさん

全くそういう話をしていない

投稿: | 2019年10月13日 (日) 20時51分

エタノールの単蒸留では95.5%くらいまで純度をあげられるらしいのでスピリタスは、四捨五入して96%と書いているのかと思っていました。

投稿: | 2020年5月 2日 (土) 21時52分

ヘキサンで思い出しましたが、食用油として広く流通している米油は、原料の米糠にヘキサンを掛けて(浸す?)して搾った液体からヘキサンを揮発させて米油を抽出製油してました。基本的に圧搾製法以外の食用油は大抵この手法らしいですね👀

投稿: 特命希望 | 2020年5月14日 (木) 10時26分

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