« 最近読んだ新書・文庫 | トップページ | 続 「物質量(モル)」か「モル数」か »

2006年9月29日 (金)

ペットボトル緑茶飲料中のビタミンCの分析

キリン「生茶」、伊藤園「お~いお茶」、サントリー「伊右衛門」など市販の緑茶飲料中には酸化防止剤としてビタミンC(L-アスコルビン酸)が添加されている。ビタミンCが緑茶の成分の代わりに酸化されるので、緑茶が新鮮に保てるというわけである。学生実験、オープンキャンパスの企画として、このビタミンCを分析、定量したのだが、予想外に多くビタミンCを含むことがわかった。

キリン「生茶」ではビタミンC濃度が0.2mg/mL500mLのペットボトルを飲み干せば100mgのビタミンCが摂取できてしまう計算になる。これはレモン5個分のビタミンCである。お~いお茶、伊右衛門も同程度の添加量だった。ダイドー「ごくせん」など濃い目のお茶を売りにしてあるものは、ビタミンCも他のものより大目に添加してあった。

表示義務があるので、ラベルの裏側には添加物としてビタミンCと表示してあるが、いくら添加されているかはまったく記載されていない。通説では、ビタミンCは過剰摂取すると体に悪いという類のものではないとされているが、本人が知らないうちにビタミン剤が不要になるほど大量のビタミンCを摂取してしまっているのはいかがなものか。

厚生労働省によるとビタミンCの適正摂取量は成人1日当たり50mgである。ペットボトル1本でもゆうに上回っている。私は夏場、生茶を1日2リットル以上愛飲していたが、知らないうちにビタミンCを400mgとっていたことになる。

厚生労働省はビタミンCの添加量の表示も義務付けた方がいいのではないかと思う。

高速液体クロマトグラフィーによるビタミンCの分析方法について

カラム: イナートシルODS

検出器: 吸光度 λ 250 nm

溶離液: リン酸バッファ(0.2 w/v %リン酸+5 mmol/L 1-ヘキサンスルホン酸ナトリウム):アセトニトリル=9:1

流速: 1mL/min

試料量: 1μL

緑茶飲料は0.45μmのクロマトディスクでろ過後、分析した。試料導入後約1.9分でL-アスコルビン酸のピークが出現。ちなみにオレンジジュースでは懸濁物が多すぎて、クロマトディスクではろ過できなかった。

L-アスコルビン酸は酸化された後、デヒドロアスコルビン酸となるが、これら2つはピークが重なるようだ。食品添加物としてのビタミンC(L-アスコルビン酸)ならピークがきれいだが、果汁由来のビタミンCではデヒドロアスコルビン酸も含まれるためピークが広がる。しばらく(数日以上)放置したL-アスコルビン酸水溶液でも、デヒドロアスコルビン酸を生成するためピークが広がる。数ヶ月水溶液を放置するとピークが出なくなる。

ペットボトル開封直後の緑茶中のビタミンCはほとんど酸化されていない。ビタミンCは開封後の劣化を避けるためなのだろう。

|

« 最近読んだ新書・文庫 | トップページ | 続 「物質量(モル)」か「モル数」か »

コメント

面白い記事ですごい発見をした気分です。
合成ビタミンC摂取で喫煙者の肺がん促進、というアメリカでの疫学調査の結果はご存知でしたか?
私は、今、そのことが気になって仕方ないのです。
http://www.health-station.com/topic-139.html
の赤地の中段あたり

投稿: chindon | 2006年10月10日 (火) 22時30分

実はこの実験をする前に、「生茶」のビタミンCの含有量について、キリンビバレッジのお客様相談室に問い合わせたのですが、「ビタミンCの量につきましては、微量含まれております。大変申し訳ございませんが詳細の量につきましてはご案内いたしかねます」という回答でした。酸化防止技術に関して企業秘密的なものなのか、大量に含まれているのが騒ぎになると困るからなのか、真意はわかりません。

ちなみにカフェイン含有量は教えてくれて、100g当たり0.015gだそうです。

大量摂取した場合に悪影響がないのかどうかは気になるところですが、気にしすぎるほどでもないのかなと思っています。

投稿: Tsuyumoto | 2006年10月19日 (木) 21時12分

食品の毒性について論じる時って、『量の概念』ってのが必要ではなかったでしたっけー?こんな短絡的で大丈夫ですかぁ〜?

投稿: ミスクライン | 2012年11月 3日 (土) 19時44分

国立健康・栄養研究所 情報センターによると、
・上限は1,000 mg、下限24 mg 。推奨は100mg。
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail179.html

過剰摂取について記載があります。
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail45.html

投稿: daren | 2016年6月 6日 (月) 10時10分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/187788/12086398

この記事へのトラックバック一覧です: ペットボトル緑茶飲料中のビタミンCの分析:

« 最近読んだ新書・文庫 | トップページ | 続 「物質量(モル)」か「モル数」か »