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2006年10月 1日 (日)

続 「物質量(モル)」か「モル数」か

9月4日に、何モルかを表現するのに「物質量」ではなく、「モル数」でいいのではないかと書いた。ただし、現在は正式には日本の高校化学の指導要領でも、IUPACでも「物質量(amount of substance)」と表現することになっている。

化学科の3年生と話していて、「まずモル数を計算して」と指示したら、きょとんとされた。まさか、モルの概念を知らないのではと一瞬、不安になったが、「物質量を計算して」に言い換えたら、「なんだ、物質量のことですか」となった。今の指導要領で高校化学を習ってきた学生は、モル数では伝わらず、物質量で伝わるのかと少し妙な気分だった。

高校の化学では、「モル数」という用語も併用されているものと思い込んでいたが、実は「モル数」は高校では死語なのだろうか。しかし、「モル数」という用語の意味がとれないようでは、いろいろと不都合が生じるように思う。実際、「モル数」の用語はGoogleで検索しても多数ヒットする。

私自身、質量(g)のことをグラム数と表現している書物を見て(これは物質量をモル数と表現しているのと同じく誤用とされるわけだが)、一瞬、意味がわからなかったことがある。単純に質量(g)のことを意味しているのか、まったく別の概念を意味しているのかがわからなかったのである。

昔、使われていて、今は使わない方がよいとされている用語を教育すべきか、べきでないか、これは実は非常に難しい問題である。高校では教えない、もう使わない方がよいとされた用語が大学の教科書や専門書では健在で、当たり前のように使われていることもが多いからである。

規定度(N)も似たような経緯をたどった。かなり優秀と思われる学生から規定度って何ですかと質問されたことがある。別に彼が不勉強だったわけではなく、1994年度の高校1年生からは高校の指導要領から消えていたのだった。これは大学で習えばいいという趣旨で消えたのではなく、使用する単位はSI単位系に統一するという世界的な流れに従い、削除されたのである。だから、趣旨をくめば、大学や産業の現場でも使わない方が良いということになる。

昔、使われていて、今、あまり使われない化学用語

規定(N)・・・モル濃度(mol/L)×価数 例 塩酸は1mol/L=1規定、硫酸は1mol/L=2規定

グラム当量(または当量)・・・物質量(mol)×価数 例 硫酸は1mol=2グラム当量 

モル数(mol)・・・物質量(mol)のこと

グラム数(g)・・・質量(g)のこと

1グラム分子・・・分子1molのこと

1グラム原子・・・原子1molのこと

一塩基酸・・・1価の酸のこと(1価の塩基ではない)

二塩基酸・・・2価の酸のこと

一酸塩基・・・1価の塩基のこと(1価の酸ではない)

二酸塩基・・・2価の塩基のこと

塩基度・・・酸の価数のこと(塩基の価数ではない) ※塩基性度はまったく別の意

酸度・・・塩基の価数のこと(酸の価数ではない) ※酸性度はまったく別の意

他にも、たとえばCr2O3は「三酸化二クロム」または「酸化クロム(III)」だが、「三二酸化クロム」と表現する世代もいる。世代の問題なのか、別の問題なのか・・・。

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