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2007年2月24日 (土)

最近読んだ新書 『東大脳の作り方』

『東大脳の作り方』(安川佳美著、平凡社新書)を読んだ。著者は現役の東京大学理科3類の学生(今年から3年生となり医学部医学科に進学するらしい)。東京大学は、「世界で一番入るのが難しい大学」であるが、理科3類(医学部進学課程)はその中でもさらに輪をかけて難しい科類(学部)である。他の国公立大学と東大理科1類の間にある難易度の差と、同じくらいの差が、理科3類と理科1類との間にあると言ってもよい。昔は「腐っても理3」、「石を投げれば理1に当たる」などと言っていた。理3はどのようにでもつぶしが利く、理1は数が多い(1学年1000人以上)ことを揶揄したものだ。

この本、東大脳と銘打ってはいるものの、脳の記憶と学習のメカニズム、大脳生理学などの科学的な話が交えてあるわけではなく、著者自身の合格体験記を大学受験期だけでなく、生まれ落ちてからの全生涯にわたって詳しく記述したいわゆる自分史的内容である。タイトル『東大脳の作り方』はおそらく著者自身が考え出したものではなく、売らんかなと考える編集者が考案したものなのだろう。この本の言う『東大脳』は、勉強に対する心構え、学習姿勢のようなものだ。

東大合格体験記として活用するときには、この本の著者が桜蔭高校出身であることに気をつけなければいけない。「高校の授業だけで十分」というような内容をあたかも一般論のように書いているが、これは超進学校である桜蔭高校だから通用する話である。読者は、著者個人の経験を一般化してしまわないように注意しなければならない。

読み進みながら、気になったのが、この著者、医学部医学科に進学するにもかかわらず、「医者になりたいと思った」など医師を志すようになった動機をまったく記していないのである。読み取れるのは理科3類が最難関だから突破したかったという理由のみ。東大医学部だから、将来は医師と言っても病院や開業医などの臨床医になる訳ではなく、大学や研究機関で専門的な医学について研究する研究医になるのであろうが、それでも人を治療したいというモチベーションがなくていいのか気になるところである。

私の雑感としては、理科3類に入れるほど理数系に秀でた才能を持っている人は、ぜひ東大理科1類や京大理学部あたりに入って、物理学者などの科学者を志して欲しい。現状では、歴史に残る世界的な物理学者は外国人がほとんどであるが、傑出した科学者がそういうところから出てくるのではないかと思う。もちろん医学部を出て医師免許をとった上で、免疫学、分子生物学など医科学関係の研究者になることも可能で、医師免許がないと行えない実験もあるから、研究者として活躍できないわけではない。ただ、私の個人的な感覚では、そういった医科学の研究分野では、物理、数学などの分野に比べ、天才的な才能が生かせる場が少ない気がする。

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