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2007年3月31日 (土)

「リサイクルせず中古品として再利用」 -環境にやさしいけれども、家電リサイクル法では違法

新聞やテレビでも報道されていたが、不要家電の収集運搬業者が顧客からリサイクル料金をもらって、不要家電を回収したにもかかわらず、家電リサイクル法の決めたリサイクルルートにのせず、中古品販売・輸出業者に横流ししていたという事件が起こった。このような事件はこれが初めてではなく、前にも別の業者で同様な事例が報道されていた。

ヤマダ電機の委託業者:不要家電横流し 経産省など調査

 家電量販最大手のヤマダ電機(本社・前橋市)で、顧客からリサイクル料金を徴収するなどして引き取った不要家電約1600台がリサイクルに回されず、収集運搬業者の関係者によって中古品販売・輸出会社に横流しされていたことがわかった。うち228台は、家電リサイクル法で定められたリサイクル券が顧客に発行されていたにもかかわらず、横流しされる悪質なケースだった。家電小売店は、回収した不要家電をメーカーなどへ引き渡すよう義務付けられており、経済産業省と環境省は同法違反の疑いで調査している。横流しは約1年間続けられており、同社の管理体制が問われそうだ。

 (後略)

2007年3月30日付 毎日新聞記事より引用

家電リサイクル法を持ち出すまでもなく、顧客からリサイクル料金を徴収していながら(この時点で家電は廃棄物扱い)、中古品(有価物)として販売する行為は、一般的には容認されないものだろう。中古品として販売するなら、逆有償(顧客が料金を払う)ではなく顧客から有償で買い取るべきというのが、顧客の立場である。

しかしながら、地球環境への負荷を考えると、この類の事件には複雑な思いが頭をよぎる。

家電に限らず、一般に製品は、別の製品としてリサイクルするよりも、製品そのままの状態で再利用(リユース)する方が地球環境への負荷は小さい

テレビはリサイクルに出すとパーツごとに分解され、銅線は銅に、プラスチックは廃プラとして、ブラウン管はガラス原料として有効利用される。しかし、まだ使えるテレビであれば、テレビとしてそのまま再利用するほうが、廃棄物も少ないし、リサイクルに要するエネルギーは必要ないので、地球環境にはやさしいのである。この業者のやったことは違法行為でありながら、環境にやさしかったのである

本来なら、不要家電の収集運搬業者は、不要家電がまだ動作するかどうか、中古品としての販売・輸出が可能かどうかを判断した上で、顧客にお金を払って買い取るか、逆にリサイクル料金を徴収するか決定すべきなのである。しかし、家電リサイクル法施行以降、引き取り料を顧客側が支払うのがスタンダードになってしまっている感がある。家電リサイクル法が逆有償(リサイクル料金を顧客が払う)をあまりにも強調するので、まだ完全動作する家電製品まで廃棄物扱いされつつあるところが問題なのである。上記の例で言えば、ヤマダ電機は動作する家電製品なら、回収業者でなく、中古品販売・輸出業者をまわして買い取るべきなのである。

毎日新聞によると

リサイクル状況に不審な点があったため、ヤマダ電機が今年1月に内部監査。顧客が家電購入の際に「不要家電がある」と答えながら、リサイクルに回っていないケースが2107件判明した。顧客への聞き取り調査の結果、このうち1594台は顧客が業者に不要家電を引き渡していた顧客にリサイクル券を発行していた228台のほか、454台は業者が領収書を交付。残る912台も顧客が引き取り料を払ったとみられるという。

廃棄物関連は法律と実態が違っていたり、行政担当者の指示、判断がまちまちだったりするので、実に複雑なのだが、私見を言えば、顧客が若干のリサイクル料金(引き取り料)を支払った不要家電が中古家電として再利用されてもかまわないのではないか。法律をそのように制定すべきである。引き取り料を徴収しつつ、中古家電として販売・輸出する行為が、ビジネスとして成立するのなら、そのうち競争が生まれ、引き取り料も妥当な数字に低下するはずである

以前は二束三文だったくず鉄の料金が最近、急上昇したり、廃ペットボトルの料金も時代によって急変動したりするので、いまリサイクル料金が必要な不要家電も将来、有価物となる日が来るかもしれない。もっと柔軟に対応できるように枠組みを決めておくべきではと思う。

行政担当者によってまちまちの判断で思い出したこと。

高校野球で金属バットが大量に廃棄物として出るらしいのだが、その運搬業者が、本来、廃棄物運搬の許可が必要にもかかわらず、許可を受けていないということで問題になり、テレビや新聞で報道されたことがあった。許可が必要なのは法律に照らすと、当たり前なのであるが、その記事を見た当時の小泉純一郎首相の鶴の一声で、廃棄物運搬の許可がなくても運搬してかまわないようになったという。ここまでは新聞記事に出ていた。

これはいったいどのように法律の適用を変えて、運搬できるようになったのだろうか?新聞には記載がなかった。首相の政治力で法律の運用を変えて弊害がないものなのか理解に苦しむ。

廃棄物絡みは理解に苦しむことが多い。

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