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2007年4月29日 (日)

水銀や放射性物質を体に塗って遊ぶ -きれいな物質の危険性

中国の小学校で子どもが水銀を体に塗って遊ぶ事故があり、水銀中毒で治療を受けているという(下記引用記事)。水銀はキラキラ光る液体で、表面張力が大きいので液滴が丸まって面白い動きをする。物珍しいので直接、手で触って遊んだのだろう。

教室で水銀遊び、中毒続出―河北省保定市  以下、Record China 4月13日15時26分配信ニュースより引用

2007年4月11日、河北省保定市に住む小学4年生の女児が原因不明の足の痛みや手の腫みを訴え北京市内の病院で検査を受けたところ、水銀中毒と判明した。女児は3か月もの間、謎の痛みに苦しみ、地元の病院を転々としたが原因がわからず、ようやく北京の病院で行った尿検査で基準値をはるかに超える水銀が検出された。

女児によると、4か月ほど前に、あるクラスメイトが不思議なものを学校に持ってきた。それは液体なのだが、手に乗せるとコロコロ動き回って面白いので、みんなでおもちゃにして遊んだことがあったという。教師も親もまさか子どもたちが水銀を触って遊んでいたとは全く知らなかったという。1か月後、クラスで足の痛みや湿疹を訴える児童が続出した。

事態を重く見た当地の疾病センターは、すべての児童の尿検査を行い、必要に応じて女児が入院している病院で治療を受けさせることを決めた。高濃度の水銀に汚染された教室はすでに封鎖されている。(翻訳編集・WF)

■ 金属水銀の経口摂取はそれほど心配ないが、水銀蒸気の吸入は危険。

水銀(化合物ではなく単体の金属水銀)は口から摂取したときの毒性はそれほど高くないが、水銀が揮発した蒸気を肺に吸い込むと有毒である。水銀蒸気を吸うと症状として、頭痛などが出る(この頭痛は吸入してから数時間の時間差攻撃でやってくる)。中国の小学生の件も、水銀と濃厚な接触をしたために、大量の水銀蒸気を吸い込んでしまったのだろう。

体温計などを破損して、誤って水銀を飲み込んでしまったときでも、口内をきれいにした後、放っていれば体内に吸収されることなく排出される(水銀体温計の説明書には、誤飲したときには、念のために牛乳や卵白を摂取して、医師に相談することと書いてある。相談する程度で構わないのである)。ただし、水銀で汚染された場所には水銀の蒸気が漂うので、身の回りには露出した水銀が存在しないようにする必要がある。

歯科医が虫歯でできた孔に詰め物をするとき、使用するのがアマルガムといわれる水銀の合金である。だいたいアマルガムの半分程度が金属水銀である。歯科医は歯の孔にアマルガムを詰めると、高温に加熱したコテをアマルガムに当てて水銀を蒸発させる。すると、残った別の金属で歯の孔が充填されるのである。歯科医はその後、うがいを促して、口内に揮散した水銀を排出させる。ほとんどの歯科医は、このとき水銀だから念入りにうがいしてくださいとも何も説明しない。これも金属水銀はそれほど毒性が高くないためだと思われるが、水銀蒸気は大丈夫なのだろうか。まさか歯科医自身が知らないはずはないと思うが、説明くらいはしておくべきだろう。

■ 水銀の昔と今、法規制

現在、環境汚染の原因物質として、水銀は他の重金属と比較して桁違いに厳しく規制されている。昭和40年代の中3コース(中3時代だったかもしれない)という学習雑誌の付録に、「理科実験べからず集」というカードがついていて、その一つに「水銀を試験管に入れるときは、底が抜けるので勢いよく流し込むべからず」というのが漫画入りで出ていた。中学生が、理科実験で金属水銀をガラス容器にとるなんてのは、今の時代では考えられないことである。ちなみに水銀の比重は13.5で液体の中では最も重い。そんなものをビーカーや試験管に勢いよく流し込むと重くて底が抜けるのだ。(同様に水銀を一気飲みすると胃に穴があいて危険)。

水銀は金、白金と同様に貴金属に分類される。環境汚染物質として槍玉に上がる前は、化学工業や日常生活に非常に役立っていて、あちこちで大量に使用されていたために、水銀資源の枯渇がまじめに心配されていたのである。現在、水銀の価格は化学実験用に流通しているもので、500グラム6300円である。現在でも安くはないが、汚染物質として槍玉に上がってなければ、貴金属なみに高くなっていた可能性が高い。

ちなみに日本の毒物劇物取締法では

「毒物」指定・・・水銀Hg、メチル水銀、塩化水銀(II)HgCl2(塩化第二水銀、昇コウ)などほとんどの水銀化合物

「劇物」指定・・・塩化水銀(I)Hg2Cl2(塩化第一水銀、甘コウ、カロメル)

「毒物」にも「劇物」にも指定されていない・・・硫化水銀(II)HgS

毒性は「毒物」>「劇物」であり、「毒物」は他に青酸カリ(シアン化カリウム)などがある。「劇物」は他に塩酸、水酸化ナトリウム、メタノールなどがある。

「毒物」と「劇物」の区別はもちろん毒性の大小によるのだが、口から入ったときの金属水銀の毒性は、「毒物」に指定されるほど高くはないのである。「毒物」に指定されているのは、蒸気を吸入したときの高い毒性のためだ。

今でも水銀、および水銀化合物が使用されている場所は

金属水銀・・・蛍光灯内部、水銀灯内部、電子式でない体温計の内部(今では医院や病院でしか見かけない)、血圧計・圧力計でマノメータを使っているタイプ、歯科治療用のアマルガム。乾電池には業界の努力により使用されなくなった。

硫化水銀・・・朱肉(ハンコ用)。余り知られていないが、印影が劣化したり、消えたりすると不都合なため、今でも朱肉には硫化水銀が用いられている。上にも述べたが、硫化水銀は劇物でも毒物でもないので毒性は低い。酸にも溶解しない安定な化合物である。しかし、赤ちゃんの手形や足形を朱肉でとるのは感心しない。

マーキュロクロム液(赤チン)・・・これも水銀化合物。現在、原料は国内で製造せず、輸入に頼っている。一時期、あまり使われなくなっていたが、復活した。ちなみに医薬品なので、毒物劇物取締法の対象外となる。

小学生が水銀をどこから入手したのか記事では触れられていないが、私はこの事件を聞いて、1987年にブラジル・ゴイアニア市で起きた放射性物質による被曝事故を思い出した。

廃業した病院から、厳重管理されていた放射性物質セシウム137が貴重品と誤認されて盗みだされ、その物質がチェレンコフ発光により、夜間でも青白く光って美しかったため、勘違いした人たちが、体に塗って遊んだり、飲用したりした事故である。

子どもに青白く光る物質や金属水銀を見て、危険性を予測させるのは無理である。大人には、危険性が予測できるリテラシーが必要であろう。

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