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2007年6月15日 (金)

1億人がジャンプして地球が動くか

日本テレビ系で『ガリレオの遺伝子』というスペシャル番組をやっていた(2007年6月14日午後7時)。「1億人が同時にジャンプするとどうなるか?」などと科学的な内容の番宣をやっていたので、科学的な教養番組であることを期待して、予約録画までして見たのだが、まったく期待はずれの内容であった・・・。日テレでは90年代前半に『おしえて!ガリレオ』という興味深い科学的クイズ番組をやっていたので、その流れをくむ番組かと期待していたのだが、内容は昔の川口浩探検隊風のもので、予約録画までしたことに自己嫌悪を感じるほどだった。

1990年代の初めに聞いた話だが、米国の科学者が、人口10億の中国人が一斉に飛んで着地した場合に、地震が起き、津波が米国を襲う可能性があるかどうかを研究し、報告したことがある。結論は10億人が全員、正確に同時に着地すれば、地震、津波の危険性は否定できないが、10億人全員が同時に着地することは事実上、無理なので、大丈夫というものだった。

平均体重60kgの10億人が、高さ50cmから着地すれば、その着地した瞬間の運動エネルギーは3000億ジュール(3×10^11J)に相当し、これが100%そのまま地面を振動させるエネルギーに変換されれば、マグニチュード4.4に相当する規模の地震になる。しかし、実際には着地した際の運動エネルギーは、音のエネルギーであるとか、地面の塑性変形(変形したまま元に戻らない変形、なので振動にならない)にエネルギー変換されるので、地震のエネルギーになるのはごく一部であろう。

ちなみに長崎に投下された原子爆弾のエネルギーは約80兆ジュール(8×10^13J)で、マグニチュード6.1の地震と同じエネルギーである。10億人が飛んで着地することによるエネルギーは、核爆発に比較すれば2桁ほど小さいものである。地下核実験は他国の地震計で検知されるので、核爆発程度のエネルギーになれば、地震もどきを起こせるということになる。

話は戻って、この日本テレビ主催の実験は、6月10日に行われたそうだが、ジャンプに参加者した人数は10億人にはとても及ばないものであろう。仮に10万人が参加し、同時に着地していても、エネルギーは3000万ジュールでTNT火薬約7キログラムの爆発エネルギーと同じである。しかも、これは地震を起こすのが目的ではなく、地球を動かして太陽から遠ざけるのが目的だったという。このため、ジャンプの実験は日本が太陽の側にある時刻を選んで行われたようである。

飛び上がって元と同じ場所に着地する場合、地球+人で運動量保存の法則が成立すると考えれば、地球は動かない。地球の質量は6×10の24乗kgである。10万人の体重は6×10の6乗kgの程度。運動量保存の法則を持ち出すまでもなく、直観的に明らかだが、18桁も違うので、地球はまったくといっていいほど動かない。様々な要因を考えないといけないので、ほんのほんのわずかほど動くかも知れないが、検知するのは不可能である。それを計測しようとしていたが、これはどう考えても無理な話だ。

こういう見方もできる。式を書き下すのは面倒だが、こんなことで地球が動くかどうかを考えるのなら、人の体と地球との間で働く万有引力も考慮する必要がある。万有引力は質量のあるものの間に作用するので、地球が人の体を引力で引っ張るのと同じように、人の体は宙に浮いている間、地球を引っ張っている。この量はもちろんほんのわずかであるが、人が飛んで地球に与える衝撃を考慮するのなら、これも考慮する必要がある。人が上に飛んだときに、人の体が万有引力で地球を上に引っ張るのでは、着地で与える衝撃に対して逆効果である。差し引きどうなるか考える必要があるが、差し引きすると相殺される。これは上で述べた運動量保存の法則が成立するから、地球は動かないというのと同じことである。

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