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2007年7月12日 (木)

上海リニアモーターカーに乗ってきた

先週、7月1日~8日まで上海に学会出張してきたのだが、最高時速431kmの上海リニアモーターカー(磁浮列車)に乗ってきた。この速度はギネスブックに載っているという。

今のところ、上海浦東国際空港(Shanghai Pudong International Airport)駅と地下鉄2号線の龍陽寺(Longyang Lu)駅の2駅の間、わずか29.863km7分20秒で結ぶだけなので、比較的空いている。浦東国際空港から上海中心部に行くためにリニアを使うと、龍陽寺駅で大きな荷物をかかえて、リニアの高架上ホームから、地下鉄に乗り換える必要があるため、結構、面倒である。今は、リニアモーターカーに乗ってみたいと考える人しか乗っていないようだ。

上海浦東国際空港を降り、磁浮列車(Shanghai Maglev Train)の案内に従って、2階に上り、渡り廊下を渡ると、すぐリニアの駅である。ちなみに上海では「リニアモーターカー」と言っても通じず、「マグレヴ(Maglev Train)」と言う必要がある。

チケットを窓口で買って、空港にあるのと同じようなX線による手荷物検査を受けた後、自動改札機を通って中に入る。料金は普通席が片道50元、往復80元。貴賓席がその倍。当日の航空券(半券やe-ticketは不可)を提示すると、2割引になるらしいが、半券不可ということは浦東空港→龍陽寺には割引が使えないということになってしまう(詳細はよくわからない)。ちなみにタクシーで同じ距離を行くと110元くらいの料金になるので、1人ならリニアの方が安い。

Homeimg_3158 浦東空港駅の場合は、改札が終わっても、すぐにはホームに行けず(階段にロープが張ってある)、コンコースで時間まで待つことになる。龍陽寺駅の場合は、ホームで待つことができて、リニアが入線してくる様子を見ることができた(左写真)。

席は自由席である。一部車両のドアが開くのでそこから乗車する。日本の首都圏のホームライナー号に乗るときのような感覚。今のところ、立っている客は見当たらず、空席が目立つ。客が少ないときには、一部の車両が締め切ってあり、行き来できないようになっていた。座席は3人掛けの座席が左右両側にあるところ、2人掛けの座席が左右両側にあるところの2パターンある。2人掛けのところの方がもちろん広い。座席は向きは変えられず、JRの特急に比べると、少しチャチだが申し分ない。関空特急はるかのように、大きな荷物を置くスペースも作ってある。

Seatimg_3159リニアは音もなく、カクンという衝撃もなく発車する。発車のときに少し浮いた気がすると表現する人もいるが、上海リニアの場合は、停車中でも走行中と同じように8mm程度浮いているらしい。乗り心地は日本の新幹線に似ているが、時速400kmを超えたあたりから、トラックで砂利道を走るようなガクガクする振動が床下に伝わってくる。走行中の揺れは、メモをとろうとすると字が大きく乱れるくらいで、鉄道の特急と同程度と思う。時速431kmの車窓の眺めは、さすがに今までに経験したことのないスピードだった。

カーブを曲がるときには遠心力を逃がすために、大きく内側に傾くし、すれ違いの時には風圧で車体がかなり大きな衝撃を受ける。

時速は発車45秒後に100km、1分後に124km、2分後に264km、2分40秒後に347km、3分後に385km、3分30秒後に最高時速の430kmに達した。その後、減速を始める4分20秒後まで、約50秒間時速430kmと431kmの間を行ったりきたりしていた。その後、3分間かけて減速し停止した。すべて車内の電光表示板に表示される。

車輪がないので、騒音が少ないと思われがちだが、騒音はかなりひどい。新幹線ののぞみの通過する音のようでもあるし、飛行機が離陸するときの音のようでもある。リニアモーターカーの運転時間は現在、午前7時から午後9時までだが、最高時速の431kmを出すのは午前8時30分から午後5時30分の間だけである。それ以外の時間帯は最高時速300kmでの運行である。

上海リニアモーターカーは、上海トランスラピッドとも言い、ドイツのトランスラピッドの技術を導入して作られたものである。磁気浮上の方式は日本のJRが研究しているものとは異なる。日本のものは磁石同士の反発力を利用して浮き上がるが、トランスラピッドは磁石同士の吸引力を使って浮き上がる。吸引力を使う場合は、吸引力を強くしすぎると吸い付いて接触しまい、浮いたことにならないため、浮いた状態で留めるための微妙な制御が難しいとされていた。日本では一昔前、日本航空がこの磁力吸引型の磁気浮上列車を研究していたのだが、開発を断念したという経緯がある。

リニアモーターカーというと超伝導を使った電磁石を思い浮かべるが、上海リニアモーターカーは常伝導、すなわち超伝導を使わない普通の電磁石を使っている。上海は電力不足という話を聞いたことがあったが、かなりの電力をこのリニアモーターカーが使っているはずである。動き出すときには、ブラウン管テレビのスイッチを入れたときのような、ブゥウンという小さな音が床下からしていた。

私が小学生の頃に読んだ子供向けの本では、リニアモーターカーは昭和60年頃に乗れるようになると書いてあったが、日本国内ではまだ実用化されていない。技術的にはもう完成の域にあるが、建設のための公的予算がまかなえないらしい。リニアより、地方の新幹線整備が先という政策のためである。

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