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2007年8月21日 (火)

那覇空港の旅客機炎上事故

20日午前10時半頃、那覇空港で、台北発那覇行き中華航空120便ボーイング737-800型が着陸後、駐機場に着いたところ、エンジン付近から出火し、炎上、爆発するという事故が起こった。乗客乗員165名が無事、脱出できたのは不幸中の幸いであった。

炎上、爆発する映像を見てて、考えたこと。

ジェットエンジンに使用される航空機燃料(ジェット燃料)は国際標準規格で4種類に分類されていて、一般的な旅客機に使用されるものは、そのうち、JET-A1という引火点38℃以上のものである。日本の消防法では、危険物第4類第二石油類に区分され、危険等級は3である。ディーゼルエンジンに使う軽油、石油ストーブに使う灯油と同じ分類だ。ジェット燃料は灯油(ケロシン)とほぼ同じと考えてよいと思う。

引火点が38℃以上なので、ジェット燃料をビーカーに入れて、20~30℃の室温でライターの火を近づけても、火は付かない(ただし、ろうそくやアルコールランプのように芯になるものがあるときは例外で火が付く)。しかし、何らかの理由で、液温が引火点以上になれば、引火し炎上する。航空機のエンジン付近は当然ながら高温になっているだろうから、漏れた燃料に引火し、その発熱で燃料が次々に加温されて、引火点を超えて、炎上したのであろう。鍋にかけ続けた天ぷら油が急に炎上するように、発火点(約210℃)を超えたために、炎上したことも考えられる。

ジェット燃料は、ガソリン(引火点 -46℃)よりも炎上しにくいが(火の回りは遅いが)、一度、温度が上がってしまうと後は同じだ。

黒煙をあげていたが、これは燃料の量に比して、空気の供給が足りないために、不完全燃焼を起こし、すすを発生しているためである。

炎上の途中、機体中央部からぐにゃりと折れ曲がるようになっていたが、これは火災で機体の温度が上がって、材料としての強度(曲げ強度)が下がってしまったためである。材料の融点に達しなくても、温度が上がると、強度が著しく減ってしまうので、ああいうことが起こる。ちなみに建築に使用される鉄骨だと350℃で、強度が常温の3分の2くらいに低下してしまうことが知られている。鉄の融点は1500℃以上だが、それよりだいぶ低い温度で強度が出なくなってしまっているところが重要である。鉄骨作りの建物火災には注意が必要である。

一般に航空機事故の9割以上は、離陸後の3分間と着陸前の8分間に起こるとされ、魔の11分間(critical 11 minutes)と呼ばれている。私などは飛行機に乗ったとき、この11分間だけ緊張したりしているが、今回の事故は着陸後、シートベルト着用のサインが消えてから起こったそうである。普通ならやれやれ無事に着いたと安心する時間だ。

1985年のJAL123便墜落事故であるとか、2002年の中華航空機空中分解事故なども、離着陸前後ではなく、巡航中に起こっている。

魔の11分間以外に起こる事故は、パイロットの操縦ミスではなく、整備不良が主因である。何とか対策がとれないものか。

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