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2007年9月 5日 (水)

透明なそばつゆ色の温泉、成分は何か?

金沢市大桑にできた『楽ちんの湯(大桑温泉)』に行ってきた。

地下から湧き出る天然温泉なのだが、湯の色を見て、化学者として、しばし考えこんでしまった。透明な褐色で、その色の濃さは、そばつゆ並みだったのである。これがにごった褐色なら、わからないでもないのだが(酸化鉄などの場合がある)、透明な褐色となると成分はいったい何だろうか?

掲示してあった温泉分析表をチェックしてみたが、この分析表に記載されている成分のうち、色があるものは鉄イオンだけだ。しかし、2価のもの(淡緑色)も、3価のもの(黄褐色)も、濃度はそれぞれ0.6mg/kg、0.1mg/kg未満なので、こんなに濃い色がつくはずはない。分析表に載っている成分だけでは、そばつゆ様の褐色透明の色が説明できないのだ。今まで似たような色の温泉に入って、漠然と、鉄分かなと思っていたが、楽ちんの湯のあまりにも、きれいで濃い褐色透明を見て、鉄分とは違うことに改めて気づいた。

実は、この透明な褐色の原因は有機物のフミン酸である。フミン酸は日本語で腐酸という(腐食酸の表記は誤り)。夭逝された篠塚則子先生(東大生産技術研究所)が研究テーマにされていて、フミンという名前がかわいいから研究テーマにしたという女子学生がいた気がする。

フミン酸というのは、植物などが腐敗して(微生物で分解されて)、生成する物質である。腐敗してできる物質のうち、アルカリに溶けるが、酸に溶けないものがフミン酸に分類される。フミン酸は、化学式・構造式が一つに定まってるわけではなく、色々な有機化合物の総称である。微量成分も含めて、どのような化合物から構成されているかは不明な点が多い。

日本の温泉法では、フミン酸は効能成分には分類されていないが、フミン酸を含む温泉は肌がつるつるになるとされ、一般に美人の湯といわれている。

金沢市有松のレモン湯、金沢の深谷温泉、石川県野々市の美人の湯なども、同じような泉質だ。化石層にある大昔の草木などが腐敗して出てきたのであろう。同じ金沢でも、湯湧温泉はこのような褐色ではない。

ちなみに麦焼酎は無色透明だが、同じ麦から製造するウイスキーは褐色だ。ウィスキーの褐色は、木製の樽に保管して熟成させるためである。美人の湯の褐色は、ウィスキーと同じような成分が出てきているんだろうなと考えたりした。

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コメント

「温泉」「成分」と言う言葉にドキっとして、開けて見ると…やっぱり!私が以前いた会社が掘削した温泉ではないですか。普段、何気なく作成していたものをこういう風に解析すると面白いものですね!以前、私が東京へ行った時に入った温泉もココと同じような透明のそばつゆ色の温泉でした。職業柄、温泉分析表をまじまじと見ていたら、店の人に変な顔で見られてしまいましたが 笑。
こうやって見ると一言で「温泉」と言っても本当に様々なものがあるのですね。また、温泉に入るのが楽しみになりました~!!

投稿: テンナイ | 2007年9月 6日 (木) 12時30分

テンナイさん元気そうで何より。
温泉分析表を見て、あ、この会社は確か・・・と思ったのでした。
金沢って掘れば、どこでも温泉は出るって話を聞きました。

投稿: tsuyumoto | 2007年9月 6日 (木) 21時30分

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