2008年は「ドラえもん」でタイムマシンが発明された年
化学の道に進んでから、タイムマシンのことなんぞ、思索しなくなっていたが、本日付け朝日新聞の「私の視点」に東北大学教授の二間瀬敏史氏(天文学)が「タイムマシン ドラえもんに追いつこう」と題して、タイムマシンの物理について、夢のある話を書かれていた。面白い内容だった。
初めて知ったのだが、漫画の「ドラえもん」ではタイムマシンは2008年に発明される設定になっている。出典は、てんとう虫コミックス41巻所収『未来図書券』、初出は小学5年生、6年生1989年11月号。残念ながら自分が子どもの頃に読んだ初期の作品での設定ではなかった。私が読んだのは14巻までで、それ以降はさすがに読んでいない。
(「タイムマシン ドラえもんに追いつこう」より引用)
夢物語と思うかもしれませんが、タイムマシンは物理学でも真剣に研究されています。
(中略)
実際、未来に行くことはそう難しくありません。太陽から約4.3光年離れた星に光速度の80%で往復すれば、地球の時計では10年9ヵ月かかります。その時に宇宙船の時計では6年と6ヵ月ほどしかたっておらず、4年以上も未来の地球に戻ることになるのです。
これは、アインシュタインの一般相対性理論と一緒によく出てくる話である。光速に近い速度で運動していると、時間の進み方が遅くなるというもので、浦島太郎効果と呼ぶ人もいる。技術的には今のところ無理だが、原理的には未来に行くことは可能であるといえる。未来に行けても、元の時間、過去に戻れないと、時間旅行とはいえない。では、タイムマシンで過去に戻るにはどうするか?
タイムマシンで過去に戻り、まだ若い自分のお父さんと、お母さんではない別の女性との仲を取り持ったとします。お父さんがその女性と結婚したら、自分は生まれてきません。では、過去に戻った自分はどこから来たのでしょう。
こうした矛盾を避ける方法はいくつかあります。何をやっても結局、お父さんとお母さんは結婚する、つまり過去は変えられないというのが一つ。過去も未来も変えられるが、その未来は自分がやって来た未来とは違うという考え方もあります。この立場は多世界解釈といい、複数の世界が同時に存在することを前提にしています。量子力学という物理学の法則ではいま、多世界解釈の可能性が熱心に研究されています。
過去へのタイムマシンの作り方はだれも明確に示せていません。たとえば直径10キロ、長さ100キロで太陽くらいの質量を持った円柱を毎秒2500回転くらいさせ、周囲を回ると過去に戻れる、との予想がありますが、確実ではありません。
この部分ははじめて知った。量子力学における多世界解釈という言葉は聞いたことがあったが、それがタイムマシンにおけるパラレルワールドの存在とつながっているという話は新鮮だった。
最先端の科学技術には量子力学の恩恵を受けているものが少なくないが、量子力学は人間の直観では理解しづらい学問分野で、多くの学生を苦しめてきたものである。量子力学における多世界解釈という最先端になると、さらに輪をかけて直観的に理解しにい方向に発展しつつあるようである。
科学(サイエンス)の定義の一つに、実験により実証可能であることというのがある。実験で実証されれば正しいとされ、実験で学説に反する結果が出れば間違いとされる。実験により真偽が確かめられないような学説は、科学でないとされ、「間違ってさえいない(not even wrong)」とされる。
上に引用した複数の世界が同時に存在するという多世界解釈が、実験的に真偽を確認できるのかどうか、興味があるところである。確かめられるとすれば、いつ頃だろうか。正しいことが実証されれば、アインシュタインクラスのブレイクスルーは間違いない。
夢のある話である。
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コメント
あくまで意見です。怒らないで下さい。
准教授である立場上、相対性理論は否定できないと思うからです。
しかし、個人的には、光速を超えた人は地球上の他の人から有視界でない領域に行っただけではないかと考えています。単純に光が届かないんですから見えないと考えているんです。しかし、タイムマシンと呼ぶ光速を超える宇宙船によって絶対に一生涯を費やしても行けない領域(場所)に到達できるメリットがあることは前向きで良いと感じています。その状況を確認できる点で良い面があるとは思っているのです。しかし、タイムマシン効果は、残念ながら、あり得ないと思っています。普通に生活している人の場所に単に戻って来ることができるだけだと思うのです。逆に宇宙船で光速を超えた人の年齢も普通に生活した人と変わらず、物語のように、お爺さんやお婆さんに変身していることはないと思っています。
しかしながら、光を超える速度の宇宙船の開発は絶対に見えない世界を確認する術となる訳なので、いつの日か開発する人が出てくることを願っています。
投稿: たぁ坊 | 2008年1月 8日 (火) 12時18分
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投稿: 週間ぴっちゅランキングへの登録依頼 | 2008年1月10日 (木) 03時40分
光の速度に近づくと質量が増大するため、人には越えれない。
多世界解釈の証明として一つ分の素粒子しか通らないスリット
を通過させた後、さらに二つの穴の開いたスリットを通過させると
自らと干渉する波紋を残すというのがあったと思う。
投稿: | 2008年1月13日 (日) 14時56分
>>自らと干渉する波紋を残す
日立が成功させた実験ですね。
ただそれは「粒子と波の二重性」は示せても多世界解釈を証明するものにはならないと思います。
投稿: 通りすがり | 2008年1月13日 (日) 22時51分
光の速度に近づくと質量が増大するという証明を誰もが分かる形で実施した人は、この世に居るんでしょうか。御存知であれば御紹介下さると幸いです。
投稿: たぁ坊 | 2008年1月15日 (火) 10時52分
タイムマシンが、あるんでしょうか。それをやればいいじゃないですか。
投稿: | 2018年6月27日 (水) 14時23分