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2008年1月20日 (日)

JR東日本が東京駅で「発電床」の実験 -実用性は・・・?

■ 圧電素子による発電は実証実験する段階か?

日経新聞などによると、JR東日本が東京駅八重洲北口改札で「発電床」の実験を1月19日から始めるという。改札口に敷いた発電用マットを乗客が「踏む」ことによって発電するものである。この実験は一昨年に続いて2回目。

約90平方メートルの発電用マットに、直径35mmの円盤状の「圧電素子」が5万4000個敷き詰めてあり、乗客が一人歩くごとに10ワット秒100ワットの電球を0.1秒点灯、すなわち10ジュール)発電し、一日でトータル500キロワット秒100ワットの電球を80分点灯)の発電を目標にするという。割り算すると一日で5万人が踏むのだとわかる。

500キロワット秒という単位は耳慣れないが、電気代の計算に使うキロワット時(kWh)に直すと、1日でわずか0.14キロワット時。1日の発電量は電気代にすると約3円である。

ちなみに太陽電池では、1平方メートル当たり1時間で0.1キロワット時は発電できるので、90平方メートル使えば、1時間で9キロワット時は得られる。圧電素子による「発電床」は、太陽電池と比較しても、かなり分が悪い。

JR東日本がこのような非実用的な技術を研究所レベルでなく、実際に改札口で検証しようとしている真意がいくら考えてもわからないのである。「将来は自動改札機の電力を賄えるようにしたい」と記事にはあったが、よほどの新技術がないと無理な話だろう。

■ 圧電素子とは

圧電素子は、チタン酸ジルコン酸鉛(通称PZT)などのセラミックスであり、硬い材料である。圧力をかけて結晶を圧縮すると電流が流れ、圧力を解除して結晶を元に戻すと逆方向に電流が流れる。この性質を利用して、カチッとやるタイプの100円ライターに使用されている。カチッとやると、圧電素子が急に圧縮されるために電気火花がとんで、ガスに火が着くのである。昔の100円ライターは親指でダイヤルを回すタイプだったが、1982年ごろから、使い捨ての圧電素子タイプが登場して、普及するようになった。登場当初は確か200円で、佐藤B作が「ピエット」(岩堀金属)という商品を派手にテレビCMしていた記憶がある。

圧電素子は、どうして圧縮すると電流が流れるのだろうか。結晶構造を見てみると、陰イオンの重心と陽イオンの重心にずれがあるのである。そのため、圧力をかけなくても電気的に分極している状態になっている。圧縮されると、分極状態が変わるために、電流が外に流れていくのである。コンデンサに例えれば2つの極板が近づいた場合と同じ。

■ 押してもへこまないエレベータのボタン

きれいなビルのエレベータで、押してもへこまないエレベータのボタンを見かけることがある。あれも圧電素子の一種を使ったものだ。デザイン的にへこむ形をしているにもかかわらず、押してみると凹まず、ランプだけ点灯する。

話は変わるが、あれは不快である。フェイントをかけられた気分になる。凹むと思って押したボタンは、へこんで欲しいものである。ある設計学の先生は、人を不快にさせる設計の代表例として、へこまないエレベータのボタンを挙げておられたが、大いに賛同した。

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コメント

はじめまして。
たぁ坊さんのブログ経由でお邪魔させていただきました。
身近にお勤めの方のブログを発見し、思わずコメントさせていただきました。
これからもお邪魔させていただきますので、よろしくお願い致します。

投稿: リハル | 2008年1月20日 (日) 10時32分

> 押してもへこまないエレベータのボタン
大丈夫。押した人の「気持ちが凹みます」。 m(_ _)m

投稿: 守屋亭狂授 | 2008年1月20日 (日) 12時57分

電気を使う装置(特に半導体)は、可逆で、反対に利用すると発電する訳ですね。改札を通過する乗降客の歩行振動を利用する仕組は圧電素子でしたか。
 
体重計、工場あるいは仕分ラインの計量器の次は、発電とは驚きです。
 
そもそも太陽電池も、ペルチェ素子冷蔵庫の逆転の発想と太陽熱温水器の結合変換による賜物ですからね。
 
いずれの方式も効率が悪いのが玉に瑕です。 

 
さて、次はどうなることやら。楽しみです。

投稿: たぁ坊 | 2008年1月20日 (日) 21時45分

いつも拝見させてもらっています。
しばらく前に見た記事で、どこで見たのか思い出せないのですが、
スイッチに圧電素子と無線モジュールを仕込み、スイッチが押された際に得られた電力で蛍光灯と無線通信を行い、蛍光灯を点灯させるというものがありました。

こうすることにより、配線コスト(主に電気配線にかかる人的コスト)が抑えられ、より経済的になるというものでした。

この実験はそういった圧電素子の一般利用化に向けた試作&アピールではないのでしょうか。
エネルギー効率の計測、耐久性の計測に関しては、駅の改札というのは最適だと思います。

投稿: ところてん | 2008年1月23日 (水) 02時11分

ここ数日に偶然ですが夕方のTV番組で目にする機会がありました。
 
慶応大学の人のようですね。がら空きの電車に乗って女性レポーターと実演していました。発電容量は少ないですが、面白いものですね。
 
個人的には、夜間に人が装着すれば、暗い夜道もスムーズに安心して歩行できるのではないかと思いました。そのレベルであれば、既に商品化レベルなのかもと思って観ていました。そして、周知徹底されれば、その商品を観た異業種の人が他の商品への採用を考えることもあるでしょう。そうなれば、開発費用も得ることができるので、飛躍的に開発が進むんではないかと思いました。
 
技術開発者が思っているほど、性能の良否は商品の営業成績には影響が少なく、それよりは、むしろアピール度と便利さが大切で営業活動がしやすいのではと思う今日この頃です。
 
今後も面白そうなネタがあれば、是非、紹介してください。
 
きっと立場的に知り得る特殊な事情もあるでしょうから。

投稿: たぁ坊 | 2008年2月 4日 (月) 13時01分

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