« オービタル(原子軌道)を図示するときによくある混乱、間違い | トップページ | 3個の中から1個の当たりを選ぶときの不思議な確率の話 モンティ・ホール問題 »

2008年5月22日 (木)

使ってよい単位と使ってはいけない単位 -SI単位、法定計量単位

昔、天気予報では、気圧を表現するのにミリバール(mbar)という単位が使われていたが、今はヘクトパスカル(hPa)である。これは1992年(平成4年)に計量法が改正されて、気圧(圧力)を表現するにはSI単位(エスアイ単位)を使うことになったためである。ミリバールはSI単位ではないが、数字上はヘクトパスカル(パスカルPaの100倍)と同じ値になるので、混乱は少なかったようである。例えば、台風の中心気圧950ミリバールは950ヘクトパスカルである。

使用すべき単位は、計量法という法律で細かく定められていて、使用してはいけない単位もある。外国では、長さの単位でインチinch(1 inch = 2.54 cm)が使われることがあるが、インチの目盛りをつけた定規を日本国内で販売すると違法である。同じく、ポンドpound(1 pound = 454 g)の目盛りをつけた体重計も販売できない。長さ、質量はメートルm、キログラムkgが法定計量単位とされていて、インチ、ポンドは法定計量単位ではないからである。

計量法第9条1項

第2条第1項第1号に掲げる物象の状態の量の計量に使用する計量器であって非法定計量単位による目盛又は表記を付したものは、販売し、又は販売の目的で陳列してはならない。

kgf/cm2表記の圧力計、カロリーcal表記の熱量計、熱伝導率計も今は販売できない。圧力はパスカルPa(または気圧atm)、熱量はジュールJが法定計量単位だからである。ただし例外もあり、血圧計はmmHg表記が認められている。医療関係では間違いを避けるため、従来の単位の使用が引き続き認められている例が多い。

Keir_3

使ってよい単位は、「法定計量単位」と「非法定計量単位の一部(17量)」

使用できない単位は、「非法定計量単位のうち、上の17量以外」

非法定計量単位のうち、17量は使ってよいことになっている。この理由は、これらの量を測定するときに使用する単位が法定計量単位にないからである。例えば、比重、湿度、硬さ、圧縮強さ、引っ張り強さ、耐火度などで、これらの量を示すための単位が、法定計量単位には定められていない。

「法定計量単位」は、「SI単位系すべて」と「非SI単位の一部」。

「非SI単位」なのに「法定計量単位」に含まれているものは、次の3つの理由に分類される。

SI単位では表せない量(7量)。音圧レベルのデシベルdBなど

SI単位でも表せるが非SIの方がメジャーな量(5量)。圧力のatm(気圧)、粘度のポアズP、濃度の%やppmやpH、回転速度のrpmなど

SI単位で表せるが、用途によっては非SIの方が使いやすい場合(13量)。長さの海里(海面、空中に限定)、オングストロームÅ(電磁波、膜厚、結晶に限定)、熱量のカロリー(栄養、代謝に限定)

メモ

オングストロームはSI単位ではないが、法定計量単位となっている。

カロリーcalの使用は栄養、代謝に限定されるので、熱エネルギーにはSI単位のジュールJを使う。

%、ppm、pHはSI単位ではないが、法定計量単位なので使用できる。ちなみにSI単位はmolを使用した濃度表記である。

力の単位である重量キログラムkgfは現在、使用禁止(非法定計量単位である)。

圧力の表記はSI単位ではパスカルPaだが、気圧(atm)も法定計量単位なので使用は可能。mmHgは血圧以外には使用できない。

などなど

なお、使用できないというのは、「取引または証明に用いてはならない(計量法第8条)」なので、実験ノートや学生のレポートに記載したら違法になるというものではありません

|

« オービタル(原子軌道)を図示するときによくある混乱、間違い | トップページ | 3個の中から1個の当たりを選ぶときの不思議な確率の話 モンティ・ホール問題 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/187788/41286651

この記事へのトラックバック一覧です: 使ってよい単位と使ってはいけない単位 -SI単位、法定計量単位:

« オービタル(原子軌道)を図示するときによくある混乱、間違い | トップページ | 3個の中から1個の当たりを選ぶときの不思議な確率の話 モンティ・ホール問題 »