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2010年4月 4日 (日)

今、いちばん欲しいものはSEM、特にFE-SEM

SEM(日本語ではセムと発音している)は、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)の略である。他にもTEM(透過型電子顕微鏡)、STMなど様々な電子顕微鏡があるが、SEMほど多くは出回っていない。

SEMにも色々な形式があり、熱電子放出型の汎用SEM(普通SEMといえばこちら)と、より高分解能の電界放出型(Field Emission)のFE-SEMがある。電子線を放出する方式の違いである。FE-SEMの方が高価で、小さなところまできれいに見える。たとえば下のような感じである。同じ試料(BaTiO3)を、左がFE-SEM(日立SU-70)で撮ったもの、右が汎用SEM(日立S-3000)で撮ったものである。左右で倍率は異なるが、FE-SEMで見える領域は汎用SEMではぼやけてしまうことがわかる。

Cf_sem_2

で、かねがね、FE-SEMを買いたいと思っている。以下はFE-SEMについて調べたメモ。

■ FE-SEMについて

汎用SEMは多くのメーカが作っているが、FE-SEMを製造しているメーカは少なく、調べた限りにおいては、日立製作所、日本電子(JEOL、ジェオールと読んでいる)、FEIの3社のみ。日立、JEOLの主力メーカ2社がたまたま国内にあるという構図。

FE-SEMは冷陰極型、熱陰極型(ショットキー)の2種類に分かれる。ランニングコスト(チップ交換)は熱陰極型の方が数倍高くつき、冷陰極の方が安い。日立製の場合、熱陰極型は1~2年に1回、チップ交換する必要があり、その費用は1回130万円。冷陰極型はフル稼働で4~5年に1回、平均7年に1回のチップ交換でよく、1回の費用は70~80万円。(日本電子製については未調査)

試料位置と電子線の焦点との位置関係によって、インレンズ、セミインレンズ、アウトレンズの形式がある。インレンズは対物レンズ中にサンプルがある形式となる。インレンズ、セミインレンズの形式だと、「リターディング」ができるが、アウトレンズだとできない。リターディングは、試料表面近傍で電子線にブレーキをかけて(逆電圧をかけて減速して)、低加速電圧にすることにより、チャージを抑える方法である。リターディングにより、非導電性試料でも、無蒸着で観察できる(試料によっては例外あり)。

蒸着する場合、FE-SEMはマグネトロンスパッタを使って薄く蒸着する(白金、パラジウム、カーボンなど)。汎用SEMだとイオンスパッタを使うことが多い。

リターディングができるのは、日立ではS-4800以降の機種。

SEMは一般に70デシベル以上の騒音で悪影響を受ける。S-5500を囲う大きな筺体は半導体工場向けに設計したもの。S-5500だけは試料を入れる形式が他と違う(長い棒の先に試料を装着して挿入する)。

■ EDX、WDX(EPMA)について

冷陰極型の方が熱陰極型よりも、高分解能だが電流量は少なくなる。なので冷陰極型にEDX(エネルギー分散型の元素分析装置)を付けることは可能だが、WDX(EPMA、波長分散型の元素分析装置)は付けられない。ちなみにWDXの方が、EDXよりも格段に分解能が高い。ホウ素の分析などはWDXでないと困難である。

WDXのメーカは少なく、JEOL、Oxford、ThermoFisher、島津くらいである。日立は作っていなくて、Oxford社製との組み合わせになる。日立製SEMに、JEOL製WDXはさすがに付けてもらえないという話。

FE-SEMにWDX、EDXを付けたからといって、FE-SEMと同レベルの高い空間分解能で元素分析ができるわけではない。ただ、汎用SEMに装着するよりは、FE-SEMに装着する方が空間分解能は高いらしい。

EDXは以前、液体窒素が必要なタイプがほとんどだったが、最近は液体窒素不要のタイプが主流。液体窒素が必要なタイプだと700万~1000万円、不要なタイプだと1000万~2000万円。WDXには、もともと液体窒素は不要。

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コメント

JSM-6600Fが安価でありますが、もうすでに設備購入されてますか?ご予算はおいくらですか?

ご興味がありましたらご連絡下さい。

投稿: 両角太郎 | 2011年12月 8日 (木) 18時17分

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