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2010年12月12日 (日)

書店で『漢文法基礎』(二畳庵主人 著)を見つける

よく書店をぶらぶらして、面白い本がないか探している。

先日、平台にうず高く積まれた新刊に『漢文法基礎 本当にわかる漢文入門』(二畳庵主人、加地伸行著、講談社学術文庫)Amazonへのリンク を見つけた。著者の「二畳庵主人」という名前にどことなく見覚えがある。何だったかなと手に取ると記憶がよみがえった。

私が高校生のころ、Z会(増進会出版社)から出版されていた漢文の参考書の復刻である。大学受験用の参考書なのだが、高校の漢文にここまで高度な内容は必要ないだろうと思われるほど、深い内容まで掘り下げて書かれているのであった。私が高校生だった1980年代半ばは、普通の書店では売っておらず、Z会の会員になるか、Z会の特約書店で注文するかでないと手に入らない本であった。漢文の参考書としては最高レベルのもので、ほとんど趣味、道楽の範囲の漢文の教養書ともいえた。B6の小さいサイズに似合わぬ分厚い本だったと記憶している。

色々な事情(漢文を受験科目に含める大学が減った、受験には学問的素養でなくテクニックを求める受験生が増えたなど)で、この『漢文法基礎』は絶版となっていたのだが、復刊を求める声が高く、古本にはプレミアがついて高価な価格で古書店市場で取引される状況にあった。事実、AmazonのマーケットプレイスではZ会から出ていたものが12,000円で取引されている。伝説の参考書との誉れが高かったわけである。

高校生が購入できる価格でないというのが、著者にとって不本意なこともあり、講談社学術文庫からの復刊となった。古書のプレミア価格12,000円に比べると、講談社学術文庫版の1,733円はだいぶ安くなったものである。ただ、高校時代から感じているが、講談社学術文庫は文庫本にしては、だいぶ価格帯が上で、単行本並みだ。ちくま学芸文庫も同じようにだいぶ高い価格帯であるが、これは部数が出ないからであろうか・・・。

「二畳庵主人」はペンネームである。高校生には意味が取りにくいペンネームであるが、二畳の部屋を書斎として使っていたことに由来するそうだ。講談社版の著者には「加地伸行」が併記されていて、こちらが本名である。Z会版には本名の記載はなかった。ここら辺の事情も面白い。

Z会版の前書きに、「(二畳庵主人は)さる大学の先生である。色々とうるさい事情があるので、覆面しているわけだ」とある。講談社版では、大阪大学名誉教授、立命館大学教授とあるので、Z会に書いていた頃は、大阪大学教授だったのであろう。ペンネームを使ったのはこういうことだったのかと腑に落ちた。国立大学の教官が、受験産業で副業するのが批判された時期があった。もう過去のことだから、覆面を脱いで構わないということだろう。

復刊はZ会からではなく、講談社からであった。復刊にあたって、Z会関係者は快諾したとあとがきにあった。Z会に書いたものの著作権は、Z会でなく執筆者にあると考えてよいということか。これは参考になる。

最近の大学受験の参考書が、学問的素養を主眼にせず、チープな受験テクニックに走ってしまっているからなのか、昔の参考書の復刊が少なくない。ちくま学芸文庫から復刊された『新釈 現代文』 (高田瑞穂 著)、『古文の読解』 (小西甚一 著)、研究社から復刊された『新々英文解釈研究』 (山崎貞、佐山栄太郎著)などである。

他にもぜひ復刊してほしい本がある。以下に記す。出版社の方が見ていたら、ぜひ検討して欲しいと思う。

『現代文の科学的研究』(松本成二著、あずみの書房)・・・これはタイトル通り、現代文を科学的に研究する本で、言語学などの知見が駆使されていて、非常に面白い本だった。現代文は、どう勉強してよいかわからない人が多いが、この本は勉強の指針を与えるものである。この本はもっと受験生に読まれていいと思うし、この本が絶版状態にあるのは教育的、文化的に大きな損失である。Ⅰ評論編とⅡ文芸編があった。メジャーな出版社からぜひ復刊しほしい。古書市場では、1冊2万円以上で取引されているのが現状である。著者は両国予備校で教鞭をとられていた方。

『必修 物理 (上・下)』(坂間勇、谷藤佑、山本義孝著、駿台文庫)・・・駿台文庫と称するが、文庫サイズではない。A5版である。高校範囲は逸脱しているが、大学の物理と高校の物理を接続するのに、ちょうどよい参考書といえる。高校物理と大学物理は、生物や化学に比べると、接続が悪い状況にあると思うが、この本はクッション役になる。昔、大学1年生のときの力学(物理)の試験で、この本を使って勉強してる学生が何名もいた。ちくま学芸文庫あたりから復刊すれば、よいのにと思う。
 ちなみに、同じ山本義孝著の『熱学思想の史的展開』は現代数学社版は絶版だが、ちくま学芸文庫から復刊された。これも面白い本である。嗜好にもよるが、巻が後の方になるほど面白かった。

『難問解法のテクニック 数学Ⅰ・ⅡB』(矢野健太郎著、科学振興社)・・・高名な数学者、矢野健太郎の手による「解法のテクニック」は有名だったが、そのシリーズの一つに超難問を集めた『難問解法のテクニック』という参考書があった。これも古書市場で1万5千円前後で取引されている。

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