国土交通大臣認定の「不燃木材」、10社中9社が性能不足
建築基準法に基づく「不燃材料」として、国土交通大臣の認定を受けた「不燃木材」の抜き打ちサンプル調査を同省が行ったところ、10社10製品中、9社9製品が必要な不燃性能を有しておらず、かつ大臣の認定した仕様を満たしていないことが明らかになった。
ちなみに、私が共同研究で関係した会社、および不燃材料はこの9製品の中に含まれていなかった。
国土交通省報道発表資料「不燃木材に関する不燃材料の大臣認定仕様との不適合について」
9社9製品の内訳はこちら mlitlist.pdf 。9社は(株)ヨコタニ、アドコスミック(株)、(有)ASA・不燃木材合板、(有)ナニハ木材、チャネルオリジナル(株)、(株)丸七ヒダ川ウッド、亀村木材(株)、越井木材工業(株)、(株)ARS。(使用実績の多い順)
1998年に建築基準法が改正され、不燃材料は「仕様規定」から、「性能規定」に変更された。つまり、それまで材質が鉄、コンクリート等でなければ不燃材料として認められなかったのが、試験で一定の不燃性能を満たせば、木材でも不燃材料として認められるようになった。木材を不燃加工し、手続きを経て、国土交通大臣の認定を取得すれば、建築物で鉄が使われていた場所に、不燃木材を使用できるようになったのである。
不燃材料の認定を受けるには、10cm×10cmの試験片を、コーンカロリーメータで加熱し、20分間の発熱量が8MJ/m2以下で、かつ試験片に亀裂、貫通が生じないことが必要条件になる。試験片の厚さは、認定を受けたい厚さにしておく。ちなみに10分間の発熱量が8MJ/m2以下なら「準不燃」、5分間の発熱量が8MJ/m2以下なら「難燃」となる。
認定の際には、上記の条件をクリアした際の試験片の厚み、比重(密度)、塗装の有無、使用した薬剤とその量などを記載して、その仕様での認定となる。上記の9製品は不燃性能を満たさないどころか、比重でさえ認定を受けた仕様の範囲になかった。これは注入した薬剤量の不足を意味する。不燃認定を受けた後は、いい加減な品質管理のもとに出荷していたようである。不燃木材なのに、かなり安い価格で流通していたとも聞く。
基準を満たさなかった9製品のうち、7製品の発熱量が基準の8MJ/m2の5倍を超え、1製品が10倍を超えた。1製品は裏側まで亀裂が入ったという。
木材は、工業製品とは異なって、加工前の木材の性質にばらつきが大きい。丸太のロットによって異なるし、辺材か芯材か、節の付近かによっても異なる。特にスギ材はばらつきが大きいようである。まじめな業者は、安全のために少し多めに薬剤を注入しておく。
ちなみに、不燃木材は、上述の不燃性能を満たすものであるが、炭化しない訳ではない。炭化して黒くなるが炎を出さないものをいう。炎が出るものは、上述の発熱量をクリアできないはずである。
現在、不燃認定試験は以前よりかなり厳格になっている。サンプルの切断を先方でやったり、提供した多数の試験片の中から先方が選んだりである。今回の9製品は、いずれも2004~2007年に認定を受けたものであった。
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コメント
とにかく地球環境ファーストの書き込みが分かりやすいんじゃないの?
投稿: ダイセル播磨 | 2019年3月 1日 (金) 20時51分